マイ ライフ
薄いピンク色の5枚の花びらが風に吹かれて落ちる。
池の水面にも落ちていく。落ちた花びらが漂うように幾枚も重なると、やがて静かな波紋から流れるような濃淡の文様が生まれる。
さらに一陣の強風に煽られると、落ち行く花びらが渦を巻く嵐のように舞い上がる。
ザザァ―――ッ・・・。
桜舞い散るその中で、聡(さとし)を見送る本条先生がいた。
両親が迎えに来た車に乗る間際、聡が振り返って先生に訊ねた。
「先生、僕は帰って来れる?」
「白瀬君、今度は楽だね。卒業式と違って入学式はメインの花は作らなくていいから」
宿舎の食堂で入学式に向けた花の準備について、先生はまるで二人の仕事のように僕に言った。
最近はパソコンの連絡メールで呼び出される。
連絡メールは必ず朝晩のメールチェックが義務づけられているので、確実に要件が伝わる。
「メインの花はいらないのですか?」
「違うよ、作らなくていいって言ったんだ。あるだろ、窓の外に」
食堂の窓に目をやる。窓の外では桜の木が見事なほど膨らんでいた。
満開を迎える一歩手前、それはほんとうに入学式を待っていたかのようなタイミングで満開になる。
「当日はホール両サイドの窓全開。窓から吹き込む桜の花びらがメインさ。その風景を壊さない程度にね」
イメージは出来上がっているようだった。
あまりにも嬉しそうな顔で言われるといやな顔も出来ず、またカゴを担ぐ覚悟で言った。
「それなら、二人でかかれば花の準備も早く終わりそうですね」
「うん、僕も手伝えたら良かったんだけど。
でも一人でも夕方には摘み終わると思うよ。はい、これが摘む花のリスト」
先生が意味不明なことを言いながら、摘む花のリストらしき紙きれと温室の鍵束を差し出した。
「・・・あの、どう言うことですか」
紙切れと鍵束を僕に押し付けた先生は、すでに自分の横に座る聡の方へ体が向いていた。
「聡君、半分も食べてないだろう。しっかり食べなきゃだめじゃないか」
いきなり自分に注意を向けられた聡は、鬱陶しそうに先生をけん制した。
「もう・・・先生、白瀬さんが何か言っているでしょう。ちゃんと聞いてあげて」
新学期と入学式を間近に控えた春休み。
この春休みが終わると僕は高等部三年になる。
そして先生の横で、僕たちがとうに食べ終えた昼食をまだ食べあぐねている聡。
きちんと紐を揃えてテーブルの上に置かれた聡の名札。オレンジ色の紐がついている。
各学年の名札紐の色は学年が上がるのと同じに、紐の色も持ち上がる。
僕はずっと青色のままで、聡はずっとオレンジ色のまま。
―村上 聡(むらかみ さとし)―
四月新学期より高等部二年生。
「だから僕は手伝えないって言っているだろう。摘んでカゴに入れて置いといてくれてたら、後で取りに行くから」
手伝うのは僕の方なのに、いつのまにか本末転倒している。
「白瀬さん、先生午後からも僕の勉強見るって言ってくれて。
・・・先生、僕ちゃんと自習しておきますから」
自分のせいだと気にした聡が、あわてて僕と先生の間に割って入ってきた。
「だめ。休んでいた分の単位はレポートで済むかも知れないけど、それだけの為にここにいるんじゃないだろう。
受けられなかった授業内容をしっかり理解する為に、君はここにいるんだろう。」
・・・まともなことも言うのに。先生が花を優先するより生徒を優先するのは当たり前のことだ。
微妙に納得出来ない部分も僕にはあるけれど。
聡が申し訳なさそうに僕を見た。
「聡が気にすることじゃないよ。いつものことだから」
僕は聡に言ったのに、反応したのは先生の方だった。
「いつもって?」
聡とは学年は違うけれど委員会でずっと一緒で、何となくウマが合って時々お互いの部屋を行き来する仲だった。
聡はおとなしいけれど明るくて素直で誰からも好かれていた。
そんな聡がある日突然学校からいなくなった。ほどなくして、病気で入院していることを聞いた。
しかし病状のことも病名のことも、僕たち生徒にはクラスメイトでさえそれ以上のことは何も教えてはもらえなかった。
二ヶ月が過ぎた頃、聡は戻って来た。
少し痩せてはいたけれど明るく素直な性格はそのままで、その時にはクラスメイトたちにも病気のことは知らされていた。
僕は聡自身から聞いた。
春休みに入って、休んで不足している単位を取るために聡が本条先生のところに来た。
そこではじめて先生の宿舎の生徒指導室は、謹慎を受けた生徒だけが入るところではないということを僕は知った。
「もういいの?下げようか」
完全に手の止まった聡の食器をトレイに乗せた。半分以上残っている。
聡が目でありがとうと僕に答える。
先生はもう別に何も言わなかったけれど、聡はあまり食べてないと咎められたことを気にしているようだった。
マーガレット、デージー、チューリップ、ラナンキュラス、スィートピー、・・・リストを見ながら摘む花の確認をする。
メインを作らないといってもそれなりの種類と量はある。
一人だとなおさらだ。今回は今が咲き頃の春の花ばかりなので、温室より外での花摘みが多い。
しかもどの花もそれぞれに広い面積で咲いているので、かなりの距離を歩き回る計算になる。
「白瀬君、早く行かないと夕方までには終わらないよ」
リストを見ながら段取りを考えている僕に、先生がさっさと行けとばかりに追い立てる。
「・・・・・・行きますけど、このラナンキュラスってどんな花ですか?」
「チューリップと同じ球根植物だよ。
花が幾重にも取り囲むように巻いているからすぐわかるよ、色も豊富だし」
「それじゃ、チューリップと同じ場所ですね」
「いつも手伝ってくれているわりには、知らないんだね」
子供みたいな先生のいやみは無視して、僕は席を立った。
剪定バサミとカゴを持って、広い花畑の中で花を摘む。
春日より、外での作業は30分も摘めば汗ばむほどだ。
腰をかがめながら摘んで行くので、所々でぐっと腰を伸ばしてそして大きく深呼吸する。
何度かの繰り返しでふと息をついた時、あっと声を上げてしまうほどの風景が目に映った。
多彩な種類を誇るチューリップがどこまでも広がって咲いている。
並走するように咲いているあれがラナンキュラスだ。
遠くに見える群生はマーガレット、デージー・・・花々が敷き詰めた絨毯柄のように色を織り成していた。
自然の創造物は人の手には遠く及ばない。
大きなカゴで二杯。予定の3分の2ほどを摘み終えて、残りは温室での花摘みとなる。
カゴはそれぞれのコーナーの角において置けば、後で先生がライトバンで取りに来る。
剪定バサミの交換のため、温室へ行く前に花屋の奥の部屋に寄る。
一気にカットしたので刃の切れ味が悪くなっている。
最後の方は花の切り口が割れてしまっているのもある。
こんなにたくさんカットしたことがなかったので、剪定バサミの代えまでは気がつかなかった。
時間のロスはけっこう大きい。急いで戻って部屋の扉を開けた。
「聡・・・」
テーブルの椅子に座っている聡がいた。
「あれ、白瀬さん。終わったんですか?」
聡の方が驚いたように、僕に聞いて来た。
「まだだけど・・・ハサミを交換に・・・。
そんなことより、聡こそどうしてこんな所にいるの。勉強・・・先生は?」
「・・・休憩です。花が見たくなって。
だって、ここはこんなに花で溢れているのに、僕は見れない」
珍しく聡が愚痴を漏らした。
「どうしたの、聡らしくないよ。今は仕方ないじゃないか」
「白瀬さんも仕方ないって思ってるんだ」
自嘲気味に微笑んだ聡の、しかし目だけは僕の言葉を強く非難していた。
聡はあと数日で、また長い入院生活に入る。
家族や周りの切なる願いと期待を受けて、今度は完治を目指す。
「白瀬さん、僕も手伝っていい?僕も花を摘むところが見たい」
普段はあまり感情の起伏を見せない聡が、急にテーブルから身を乗り出すように僕に聞いてきた。
「聡・・・宿舎に戻ろう。せっかくここまで頑張って来たのに、こんなところでケガでもしたら大変だよ」
聡の問いかけに僕は答えられなかった。月並みな言葉で濁して聡の腕をとった。
「僕、ひとりで帰るから。白瀬さん遅くなっちゃうでしょう」
聡があきらめたように、僕の腕を軽く払って立ち上がった。
「少しぐらい遅くなってもいいよ、休みなんだし。
・・・休憩時間をオーバーしてるよ、先生が心配する」
聡と一緒に宿舎のスタディルームへ帰る。
部屋に戻ると先生が待っていた。
「どこに行ってたの?」
部屋の入り口でたたずむ聡に、先生が静かに問いかけながら近づいて来る。
「先生、あの・・・」
聡の代わりに弁護しようと先生に声をかけた僕は全く無視された。
先生が僕を素通りして聡の前に立つ。
聡の頬を両手で挟んで少し顔を持ち上げた。
先生はそのまま撫でるように左右に手を両肩から腕、そして指先まで滑らしていった。
「・・・花が見たくて、店の方に行ったらいっぱい見れました」
悪びれる様子もなく聡は淡々と言った。
「ケガをしなかったからいいようなものの、花は危ないんだよ。
言ったろう、トゲや葉でとくに指先なんてすぐ傷ついてしまうんだよ」
先生の言葉に聡はふいっと横を向いた。
有り得ない聡の態度に僕が戸惑った。
そしてさらに聡は前に立つ先生の横をすり抜けて、テーブルの方へ向った。
テーブルにはまだそのままの状態で教科書やノート、プリントが広げられていた。
聡は自分の席においてあるガラスのコップを手に取った。水が入っている。
「先生、僕は何も出来ない、何もさせてはもらえないんだ。僕の出来ることは何?
壊れたこの体に、効きもしない薬を飲むことだけだ」
カシャ―ンッ!!
聡の指から離れたガラスのコップが、真下の床で砕けた。
「・・・聡、そこを退いて。危ないよ」
あきらかに聡は平常心を失っていた。
ひとつたがが外れるととんでもない行動に走ってしまう、そんなぎりぎりのところで、今まで聡は自分の感情を抑えてきたのだろう。
僕を見た聡の目からは幾筋も涙が伝い落ちていて、目が合わなければ泣いていたことにすら気付かないほど静かな聡の慟哭だった。
「みんなそう言うんだ。そして僕を腫れ物をさわるみたいに扱って。
ねぇ白瀬さん、ほんとうに危ないかどうか試してみようか・・・」
溢れる涙でゆらめく瞳を僕に向けながら、聡は背をかがめて真下で砕けたガラスコップの欠片を拾おうとした。
「あっ!・・・」
小さな悲鳴が聡から上がった。
聡が僕に気をとられていた間に先生が駆け寄っていって、寸でのところでぐいっと腕を引っ張り上げた。
「何の真似だ」
「いっ・・痛い!・・離して、先生!」
先生は細い聡の腕をとったまま、足元に散らばるガラスの破片から聡を遠ざけた。
遠ざけたところで腕を離された聡は、気が抜けたようにその場にしゃがみ込んだ。
「聡君、自分のしようとしたことがわかるかい?」
先生はしゃがみ込む聡の頭上に、ゆっくりと自覚を取り戻すように言った。
しかし見上げた聡の表情は強い不満の色だった。
聡の一度外れてしまったたがは、なかなか戻らなかった。
「もう・・いいんです。先生、僕が勉強する意味は?何も出来ないのに、壊れたコップも片付けられない・・・。
花さえも触れなくて、僕が生きている意味は?先生、ならせめて確かめさせてよ。
僕の指先から赤い血が止まることなく流れて、そうしたら僕は生きていることを実感出来るかも知れないでしょう」
聡の涙は途切れることはなかった。
聡が受け止めるには、あまりにも重過ぎる現実がそこにはあった。
「ちょっと・・・!先生!!」
僕は声を上げて先生に飛びついた。
先生がしゃがみ込む聡の胸ぐらを掴んで引きずり上げた。
「先生、やめて下さい!聡は今・・・少し神経が高ぶってるだけ・・・っ!!」
思わず先生を止めに入った僕は、止めるどころか先生の腕に思いっきり振り払われた。
勢いで床にしたたかに腕を打ちつけた。
「くっ・・苦しい・・・、先生・・やめ・・」
「苦しいかい・・・生きている実感なんてないだろう。君がしようとしていたことはこういうことだ」
先生は聡の胸ぐらから手を放すと、はぁはぁと息の乱れる聡の両脇に手を差し入れて引き上げた。
テーブルの椅子に座った先生は、そのまま聡を膝の上にうつ伏せで引っ張り込んだ。
「・・・先生?・・・いやだ・・やめて、何で!」
膝の上に乗せられた聡は、胸ぐらをつかまれた時よりも動揺した声を出した。
「腫れ物をさわるように扱った覚えはないけど。
君の病気はケガが最も怖いから、それに対してはみんな敏感にはなるけどね」
言いつつ先生が聡のズボンと下着を下ろした。今の聡の力では到底抵抗出来ない。
せめて身構えることだけだ。
ぱんっ!
「やっ!・・・」
ぱんっ!ぱんっ!ぱんっ!
「いやだぁ!・・・僕が何をしたっていうの!」
「わからないのかい?それじゃぁ、わかるまでゆっくり反省してごらん」
ぱしんっ!ぱしんっ!ぱしんっ!ぱちんっ!・・・
穏やかに語りかけるような言葉とは裏腹に、聡のお尻を叩く先生の手は少しずつ強さを増していく。
「・・いたっ・・痛ぃ。だって、もういやなんだ。
・・うっ・・いいことなんてひとつもない!・・うっ・あぁ〜んっ・・・」
はじめて聡の泣く声を聞いた。
「そうかな。今度の入院で君は完治を目指せるんだよ。
何万人の中から君に適合した人に出会えたことは、いいことじゃないのかい?」
それは偶然に近いと言えるほどのことだった。
一番確率の高い家族や親戚から適合を得られなかった聡は、小康状態だったこともあり一旦退院して病院からの適合者の連絡を待つ状態だった。
何万人分の1の確率。聡はその確率を引き当てた。
「聡君、みんなが君を守ろうとしているのに、君が自分を守らなくてどうするんだい!」
それでも聡には辛い入院生活になることは、先生にも僕でさえもわかる。
しかし先生は、だからといって聡の自暴自棄を許さなかった。
ぱしんっ!! ぱしんっ!! ぱしんっ!! ぱしんっ!!
ぱしんっ!! ぱしんっ!! ぱしんっ!! ぱしんっ!!
「やぁああ〜んっ!うっ・・ひっく・・けど、わかってるけど、どうして僕ばっかりぃ!」
聡が小さな子供のように、聞き分けなく先生の膝の上で泣き叫ぶ。
おとなしくて明るくて素直な聡に抑えられていたもうひとつの心が、先生の手で救い上げられる。
「君の人生だからだよ。君だけの試練だ。
誰も代わってあげることは出来ないから、君が頑張らなくちゃいけないんだよ」
「ひっく・・うっ・うっ・・・」
嗚咽だけになった聡の背中をさすりながら、先生がそっと聡の下着とズボンを引き上げた。
それから先生は聡を抱き起こすと、そのまま抱きかかえて部屋を出て行った。
スタディルームにひとり取り残されたような形になった僕は、テーブルの上の教科書と床で割れているコップを片付けて部屋を出た。
ここで僕が先生を待つ必要はない。先生には僕は映らなかった。
夜間照明灯のスイッチを入れて温室に入る。
すっかり日が暮れていた。もうすぐ夕食の時間だけど、なんだか食べる気がしなかった。
それよりも残っている花摘みを片付けたかった。床で打ちつけた腕が痛い。
スィートピーとカスミソウと・・・。
しばらく夢中で花を摘んだ。
無心になることで気がかりな聡のことも、腕が痛いことも少しの間忘れることが出来た。
「下手なカットだね」
後ろから声がして振り向くと先生だった。
もう無心ではいられない。すぐさま聡のことが気になった。
「先生、聡は?」
「医務室に連れて行った。心配ないよ、念のためにね。入院まであと少しだからね」
今までにないほど、きっと聡は泣いたことだろう。
この涙がこれからの聡を救う涙であって欲しいと僕は思う。
「貸してごらん。」
先生が僕の手から剪定バサミを取り上げて花を摘んで行く。
「白瀬君、ハサミの入れ方が悪いんだよ。すぐ疲れるだろう?」
「どうしてわかるんですか・・・」
「切り口がバラバラなんだ。茎の筋に沿ってないし、花も可哀想だよね」
切れるハサミに代えてもこれだけ文句を言われる。切り口の割れた花を見たら何て言われるだろう。
もうカットさせてもらえないかも知れない。
それならいいいのにと、文句を言いながらも手早く摘んで行く先生の花を、カゴに入れながら僕は考えていた。
春休み最後の日、聡が学校を発つ。一度家に戻ってすぐ病院に入る。
午前10時に、正門横の通用門に家族の人達が迎えに来る。
先生に呼ばれて、一緒に聡を見送ることになった。聡が僕に会いたいと言ったそうだ。
入学式を前にして桜が満開を迎えた。
正門から通用門、校舎を抜けて桜並木がどこまでも続く。
毎年四月入学式のこの時期は、学校全体がぐるりと桜に取り囲まれたような景観になる。
桜舞い散るその中で、聡(さとし)を見送る本条先生がいた。
両親が迎えに来た車に乗る間際、聡が振り返って先生に訊ねた。
「先生、僕は帰って来れる?」
「その答えは君自身が一番良く知っているだろう」
先生の自信に満ちたその笑顔に、聡もつられて笑顔を返した。
「白瀬さん!僕が帰って来た時には白瀬さんはもう卒業しているかもしれない。
その時は僕が先生の面倒を見ますから」
車に乗り込んだ聡が窓を開けて、舞い落ちる桜の花びらをかき分けるように大きく手を振った。
聡が発って半年が過ぎた頃、学校に一通の手紙が届いた。
聡からだった。
聡の経過は時々知らせてもらうことが出来た。
適合者との連携も治療も順調に進み、退院の見通しも立った。来年の四月聡は復学する。
手紙はタイプ打ちではなく、自筆のものだった。
そのまま学校のHP(ホームページ)に載り、誰でもが読めるよう公開された。
『 僕は来年の四月、高等部二年生に復学します。
一年生の時に発病してまさかこんなふうになるとは思いもしませんでした。
最初はどうして僕だけがという理不尽な気持ちでいっぱいでしたが、
僕の人生なのだから、僕の試練で当たり前なのです。
なのに僕はみなさんからたくさんのサポートを受け、さらには見ず知らずの人から再び命をもらいました。
この病気になって知り得たことは、どんなに最新の医療を受けようとも最終的には人が人を救うのだということです。
復学するにあたって、休む前にたくさんの問いかけを残してしまいましたので、
勉強する意味は?生きている意味は?
その問いかけの答えをみつけるのもまた楽しみでもあります。
それともうひとつ、僕の名札紐は卒業するまでオレンジ色のままでいたいと思います。
色違いはおかしいかもしれませんが、それは唯一僕が胸を張れる証なのです。
それではみなさん、健康に留意して有意義な日々をお送り下さい。
ほんとうにみなさんありがとう。僕の命をありがとう。
村上 聡 』
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